
寝ても寝ても眠い原因をチェック!その理由と解消法とは?
寝ても寝ても眠い原因を徹底解説!睡眠時無呼吸症候群の可能性やエプワース眠気尺度を使ったセルフチェック方法を紹介します。改善方法で快適な毎日を取り戻しましょう!
しっかり睡眠をとっているのに眠い...仕事中や運転中に眠気が襲ってくる...そんな悩みを抱える方のために、原因と解消方法を徹底解説します。エプワース眠気尺度を使ったセルフチェックや具体的な改善法を取り入れて、日中のパフォーマンスを取り戻しましょう。
エプワース眠気尺度(ESS)とは?
.png)
エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale)は、日中にどれほど眠気を感じるかを定量的に測定するためのツールです。この尺度は、1991年にオーストラリアのメルボルンにあるエプワース病院で開発され、現在では世界中で広く使用されています。
主に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や特発性過眠症などの睡眠障害のスクリーニング(初期診断)に活用されており、簡単に実施できる点が大きな特徴です。病院やクリニックで使用されるほか、自己評価用のツールとしても信頼されています。
この尺度は、日常生活の中で特定の状況において、どの程度眠気を感じるかを自己申告で評価します。評価は8つの質問に対して、それぞれ0~3点のスコアを付ける形式です。
日本版エプワース眠気尺度(JESS)の具体的な質問票はこちら
エプワース眠気尺度は簡易診断のためのスクリーニングツールであり、正式な診断には医療機関での検査が必要です。この尺度を活用して、自分の眠気の状況を把握しましょう。
エプワース尺度に関する注意事項
最新の研究では、ESSのスコアが必ずしも睡眠時無呼吸症候群(SAS)の正確な診断を保証するものではないことが明らかになっています。以下に2本の論文の要点を基に、ESSの限界について解説します。
エプワース尺度(ESS)の再検討(evisiting the Epworth Sleepiness Scale)
ESSは、日中の眠気(Excessive Daytime Sleepiness, EDS)をSASの主要な指標としていますが、実際の診断精度には限界があることが示されています。実験の結果には、ESSが陽性(10点以上)の場合、88%がSASと診断されましたが、ESSが陰性(10点未満)の場合でも75.9%がSASと診断されました。特に重度のSAS(AHI≧30)の患者もESSスコアが低いケースが多く見られました。結論は、ESSの感度は38%、特異度は79.3%と報告され、スクリーニングツールとしての信頼性は限定的です。特に陰性の結果を得た場合でも、SASの可能性を否定できないため、専門的な診断が必要です。
出典:Hrvoje Puretić et al. (2023), Wiener klinische Wochenschrift
過度の日中の眠気の評価におけるエプワース眠気尺度の不足点
ESSは患者の社会文化的背景や生活習慣によってスコアにばらつきが生じる可能性が指摘されています。実験結果では、低ESSスコアを示す患者の中にも、重度のSASや睡眠の質が著しく低下しているケースが多数確認されました。例えば、社会的活動が制限されている患者や車を運転しない患者はESSスコアが低くなりやすい傾向があるとされています。ESSは患者の社会文化的背景や生活習慣を考慮していないため、スクリーニングには限界があり、患者ごとに個別の評価が必要です。
出典:Published: 18 December 2024.Volume 29, article number 62, (2025)
これらの研究結果は、ESSが有用なツールである一方で、その限界を認識する必要性を強調しています。特に以下の場合は、ESSに頼るだけでなく、専門医の診察を受けることが推奨されています。また、専門医を選ぶことや症状についてわからないことは、健康相談サービスのHealthle(ヘルスル)を活用することも大切です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる疾患です。主に以下の症状が見られます。
- いびき:特に大きないびきが特徴で、睡眠中の異常な呼吸パターンを伴います。
- 日中の強い眠気:夜間に呼吸が止まることで十分な休息が取れず、日中に強い眠気を感じます。
- 起床時の頭痛:睡眠中の酸素不足が原因で、朝の目覚めがすっきりしません。
SASは特に中高年男性や肥満体型の方に多く*、放置すると心血管疾患や高血圧、糖尿病などのリスクが高まります。診断には専門医によるポリソムノグラフィー(PSG)などの検査が必要です。
*一般的に、男性の約25%、女性の約10%がSASのリスクを抱えていると推定されています。
参照元:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/54/6/54_6_879/_pdf
なぜSASが問題なのか?
呼吸停止による酸素不足は、心血管疾患(高血圧や心臓病)、糖尿病、脳卒中などのリスクを大幅に高めます。また、睡眠が分断されるため、日中の眠気や疲労感、集中力の低下を招き、事故やけがのリスクも増加します。
診断と治療
- 診断方法:SASの診断には、専門医によるポリソムノグラフィー(PSG)が用いられます。これは、睡眠中の呼吸、脳波、心拍数などを記録する検査です。
- 治療方法:軽症の場合は、生活習慣の改善が効果的ですが、中等度以上では以下の治療が推奨されます:
- CPAP(持続陽圧呼吸療法):睡眠中に気道を開き、呼吸を正常に保つ装置。
- 外科手術:骨格や気道の問題を修正するための手術。
- 生活習慣の改善:
- 体重管理:適切な体重維持や生活習慣の改善が症状の軽減に繋がります。
- 禁煙やアルコール摂取の見直し:喉や気道に影響を与えるこれらの習慣を減らすことが効果的です。
「寝ても寝ても眠い」を改善する方法

快適な寝室環境の整備
質の高い睡眠を得るためには、寝室環境の整備が不可欠です。睡眠中、体は外部の環境に大きく影響を受けます。
特に以下の要因が睡眠の質を左右します:
- 温度と湿度:寝室の温度が高すぎたり低すぎたりすると、体温調節が妨げられ、深い睡眠が妨げられます。また、乾燥した環境は喉や鼻に負担をかけ、無意識に睡眠中の呼吸を乱す原因となります。
- 寝具の快適さ:硬すぎるマットレスや枕が合わないと、寝ている間の体に負担がかかり、頻繁に目が覚める原因になります。また、適切な寝具は体をサポートし、筋肉の緊張を和らげることで深い眠りを促進します。
- 光と音:光や音が少ない環境では、睡眠ホルモン(メラトニン)が十分に分泌されやすくなります。遮光カーテンや耳栓の利用も有効です。
まとめると、寝室環境を整えることは、体のストレスを軽減し、深い眠りを促す重要な要素です。これにより、眠りの質が向上し、日中の眠気を減少させることが期待できます。
食生活の改善

睡眠の質を高めるためには、食事内容が大きな役割を果たします。特に、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌を促す食品や栄養素が重要です。
参考記事
メラトニンとその活性化のメカニズム
メラトニンは脳の松果体という部位で生成され、睡眠と覚醒のリズムを調整します。メラトニンの生成には、以下の2つの要因が関与します:
- トリプトファン:メラトニンの前駆体であるセロトニンを生成するために必要なアミノ酸です。トリプトファンを含む食品を摂取すると、体内でセロトニンが生成され、最終的にメラトニンに変換されます。
- 光の刺激:夜間に暗い環境にいると、メラトニンの分泌が促進されます。一方、強い光を浴びると分泌が抑制されます。
具体的に摂るべき食品
- トリプトファンを多く含む食品:バナナ、乳製品、七面鳥、ナッツ類
- マグネシウムを多く含む食品:アーモンド、ほうれん草、豆類(筋肉をリラックスさせる効果あり)
- ビタミンB群を多く含む食品:豚肉、卵、大豆食品(神経伝達物質の代謝を助ける)
また、睡眠の質を高めるためには、夕食の時間にも注意が必要です。就寝の3時間前までに食事を終えることで、胃腸が休息状態に入り、深い眠りを妨げる要因を排除できます。
まとめ

セルフチェックを活用し、眠気の原因を正確に把握しましょう。睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの潜在的な疾患が疑われる場合は、早めに医療機関で検査を受けることが大切です。また、寝室環境の整備や食生活の改善など、日常生活の中で取り組める方法を積極的に取り入れることで、質の高い睡眠を手に入れることができます。日中の眠気を解消し、快適な毎日を取り戻しましょう。
Q&Aよくある質問
Q1.眠たくても眠れない原因にはどのようなものがありますか?
Q2.ストレスが原因で眠たくても眠れない場合、どう対処すればよいですか?
Q3.日中の眠気が強いのに、夜になると眠れないのはなぜですか?
Q4.眠たくても眠れない原因を改善するには、どんな寝室環境づくりが重要ですか?
Q5.セルフチェックで問題がなさそうなのに、まだ眠たくても眠れない場合はどうすればいいですか?
Q6.眠たくても眠れない状態が続くと、どんなリスクがありますか?
📚参考文献
- [1]
- [2]
- [3]