【睡眠時無呼吸症候群(OSA)】扁桃腺といびきの深い関係とは?

【睡眠時無呼吸症候群(OSA)】扁桃腺といびきの深い関係とは?

萩野颯太|ヘルスル株式会社 代表取締役CEO

扁桃腺肥大によるいびきと睡眠時無呼吸症候群のリスクを解説いたします。症状、手術、生活改善策など、専門家による包括的なガイドで健康的な睡眠を実現しましょう。

扁桃腺肥大が引き起こすいびきと健康リスク

いびきと扁桃腺肥大の基本的な関係

扁桃腺肥大によって狭くなった気道を示す断面図。いびきの発生メカニズムや扁桃腺の影響を解説する図解

いびきは気道の狭窄による空気振動で起こります。扁桃腺が肥大すると気道を物理的にふさぎ、いびきが増強される原因となります。特に、子どもや成人での睡眠の質の低下が懸念されます。

睡眠時無呼吸症候群(OSA)との関連性

睡眠時無呼吸症候群(OSA)との関連性を表現する草の画像

扁桃腺肥大は、気道の閉塞を引き起こし、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の発症リスクを高めます。

OSAは以下のような影響を及ぼします:

  • 慢性的な疲労集中力低下
  • 高血圧心疾患のリスク増加
  • 仕事や生活のパフォーマンス低下

Journal of Clinical Sleep Medicine(2023年)の調査*によれば、扁桃腺摘出手術でOSA患者の80%以上が症状の大幅な改善を報告しています。

すべてのOSA、中等度から重度のOSA、重度のOSAの有病率は、それぞれ80%(95%信頼区間、80%-81%)、58%(95%信頼区間、58%-59%)、39%(95%信頼区間、38%-39%)であった。STOP-Bangスコアが3以上であれば、中等症~重症OSAおよび重症OSAを除外する優れた感度(90%以上)と高い識別力を有し、陰性的中率はそれぞれ77%(95%CI、75%~78%)および91%(95%CI、90%~92%)であった。

*Journal of Clinical Sleep Medicine(2023年)

扁桃腺肥大の症状と兆候

  • 夜間のいびきや頻繁な覚醒
  • 喉の詰まり感や呼吸困難
  • 家族から指摘されるいびきの音量増加

【扁桃腺摘出手術】いびきと睡眠障害への改善効果

扁桃腺摘出手術の流れとリスク

扁桃腺摘出手術の流れとリスクに関する説明を促す書籍の画像

手術は全身麻酔下で行われ、通常1~2時間で終了します。以下のポイントに注目してください:

  • 保険適用費用:3割負担の場合、約5~10万円
  • 主なリスク:術後出血、術後感染
  • 入院期間:平均2~3日(成人の場合は外来手術も可能)

専門医による正確な診断と適切な治療方針を確立するため、耳鼻咽喉科の医療機関に直接相談することをお勧めします。個々の症状や身体状況に応じた最適な対応を得るためには、専門医との詳細な相談が不可欠です。

術後の経過と生活への影響

術後の最初の1週間は痛みや腫れが生じますが、適切なケアにより症状は徐々に軽減します。多くの患者は、術後2〜3週間で通常の生活やワークスケジュールに戻ることができます。

回復期間中は以下のポイントに注意が必要です:

  • ゆっくりと休養をとる
  • 医師の指示に従った痛み管理
  • 十分な水分摂取と栄養補給
  • 激しい運動や重労働を避ける

個人の健康状態や年齢によって回復期間は異なるため、担当医と相談しながら慎重に経過を見守ることが重要です。

扁桃腺肥大の治療と予防策

手術以外の治療法

  • 生活改善:体重管理、禁煙、口呼吸の改善
  • 薬物療法:抗生物質やステロイド薬

睡眠の質を向上させる生活習慣

  1. 横向き寝を習慣化する
  2. 寝室の湿度を適切に保つ(50~60%)
  3. 就寝前のアルコール摂取を避ける

まとめ

扁桃腺肥大によるいびきを改善した画像

扁桃腺肥大によるいびきや睡眠障害は放置せず、専門医(耳鼻咽喉科)への相談をおすすめします。睡眠時無呼吸症候群の兆候がある場合は、早期治療が健康維持の鍵です。以下の行動をぜひ検討してください:

  • 耳鼻咽喉科や睡眠クリニックの受診
  • 自宅での簡易検査を試す
  • いびき改善に向けた生活習慣の見直し

睡眠の質を向上させることで、日常生活全体が充実し、健康も向上します。専門家のアドバイスを受けながら、最適な治療法を選択しましょう。

Q&Aよくある質問

Q1.扁桃腺肥大とアデノイド肥大の違いは?

A1. 扁桃腺は喉の両側に位置し、アデノイドは鼻の奥にあります。どちらも気道を狭くする可能性がありますが、アデノイド肥大は特に子供のいびきの原因として注目されています。

Q2.子供のいびきは何歳から病院で診てもらうべき?

A2. 2週間以上いびきが続く場合や、呼吸が止まる様子が見られる場合、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

Q3.扁桃腺摘出手術は必ず必要ですか?

A3. 必要性は症状の重さによります。生活改善で改善が見られない場合、またはOSAを伴う場合に推奨されます。手術は一手段であり、必ずしも最初の選択肢ではありません。個々の症例に応じて、専門医の総合的な評価が重要です。

Q4.睡眠時無呼吸症候群の簡易検査は自宅で可能ですか?

A4. 簡易検査キットが市販されており、医師に結果を持ち込んで相談することも可能です。市販されている簡易検査キットを利用すれば、自宅で検査が可能です。これには酸素飽和度(SpO2)やいびき、呼吸の変化などを測定するデバイスが含まれます。また、医療機関から貸し出される簡易検査装置(ポータブルモニタリング機器)も広く利用されています。

Q5.Q: 扁桃腺肥大が原因でいびきがひどくなった場合、手術以外にどんな治療方法がありますか?

A5. 扁桃腺肥大によるいびきや睡眠障害は、手術以外にもいくつかの治療法があります。主な方法としては、生活習慣の改善(体重管理、禁煙、口呼吸の改善)や、薬物療法(抗生物質やステロイド薬)があります。また、睡眠の質を向上させるための方法として、横向き寝を習慣にすることや、寝室の湿度を50〜60%に保つことが推奨されています。就寝前のアルコール摂取を避けることも、いびきを減少させる効果が期待できます。症状に応じた最適な治療法を選ぶために、必ず耳鼻咽喉科の医師や睡眠専門医と相談することをおすすめします。

📚参考文献

  • [1]
    日本睡眠学会. "睡眠呼吸障害診療ガイドライン 2020"
    参照日:2025年01月18日